メタボリックシンドロームを解消しよう(9) 運動について
献立作成者:広瀬輝美 |
今回は、運動についてです。
メタボリックシンドロームのメカニズムの図を見ると、内臓脂肪の蓄積が、良いホルモンの分泌を減少させ、不都合なホルモンの分泌を増加させるとあります。
近年、脂肪組織は生理活性のある多くの物質を分泌する内分泌組織であることが分かってきました。
脂肪細胞から、色々な生理活性物質(総称してアディポサイトカインと呼ばれています)が分泌されています。
アディポサイトカインには、健康状態に好都合な働きをするものと、不都合な働きをするものがあり、バランスをとって健康状態を保っています。
しかし、内臓脂肪が蓄積すると、健康状態に不都合に働くアディポサイトカインの分泌が過剰になります。逆に、動脈硬化を抑制したり、インスリンの働きを改善したりというように、好都合に働くアディポネクチン(アディポサイトカインの一種)が減少し、いろいろな疾患が発症してしまいます。
【メタボリックシンドローム発症のメカニズム】
〜エネルギー収支と内臓脂肪の蓄積〜
私たちは食物から得たエネルギー(摂取エネルギー)を活動のエネルギー(消費エネルギー)に変えて生活しています。
したがって、収支バランスがとれていれば体重は変化しない。しかし、食べ過ぎや運動不足により、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ってしまうと、中性脂肪(トリグリセライド)として脂肪細胞に蓄えられることになります。
昭和35年から40年の摂取エネルギーと平成19年の摂取エネルギーと比較すると
昭和35 昭和40年 2100Kcal
平成19年 1900Kcal(国民栄養調査)
というように摂取量としては昔に比べて減っています。
しかし男性の肥満の割合は増加しています。(女性はむしろ減少していますが)
昔の人のほうがよく食べていたのに、肥満の割合が少なく、糖尿病になっている人も今ほど多くはなかったです。その違いは、日々の生活の過ごし方にあるようです。
「ニート」という言葉を知っていますか?
ニート(NEAT)
英語「ノンエクササイズ アクティビティ サーモジェネシス」
Nonexercise Activity Thermogenesisの頭文字をとったものです。
米国で行われた運動時以外の体のエネルギー代謝についての研究から注目されるようになりました。
研究内容は、やせ気味の人と肥満気味の人の行動を観察することです。
その結果、肥満気味の人はやせ気味の人よりも1日2.5時間座っている時間が長く、歩行時間が少ない傾向があることが分かりました。
立っている時間を1日2.5時間増やすだけで約350Kcalのエネルギーを余分に消費した計算になります。
生活の中では、階段を使う 立って家事をする 立って本を読むテレビを立ったまま見る 子供と遊ぶ 電車の中で立つなどです。
私たちの生活は、電化され体を動かさなくてもリモコン1つで何でもできるようになっています。昔の人のようにまめに体を使うことを心がけましょう。
このニートは食事にも気を配ってこそ効果が出るそうです。ご自分にあった適量をバランスよくとりましょう。
体を動かすことに慣れてきたら、厚生労働省が発表した健康づくりのための運動指針2006年を参考にしてみるといいと思います。
メタボリックシンドローム予防 運動(1)
メタボリックシンドローム予防 運動(2)
メタボリックシンドローム予防 運動(3)
メタボリックシンドローム予防 運動(4)
今回の献立の栄養量
エネルギー量 (Kcal) |
たんぱく質 (g) |
脂質 (g) |
炭水化物 (g) |
559 | 24.4 | 10.9 | 92.1 |
カルシウム (mg) |
コレステロール (mg) |
食物繊維 (g) |
塩分 (g) |
139 | 65 | 8.5 | 2.4 |